2018年2月26日月曜日

Session1-4 ドワーフ髑髏ヶ原の戦い

二人は傭兵、毒蛇は賞金稼ぎ


 両軍の士気は両種族間の深い憎しみに煽られて最高潮に高まっていた。この戦場にいる全てのゴブリンとドワーフが何故この戦場にいるのかなどという事はすっかり忘れ、目の前の敵を殺す事だけを考えていた。ゴンザの前進の命令で戦いは始まった。
  ゴブリン蜘蛛騎兵隊は、正面ののマスケット銃部隊に目掛けて突撃を開始した。
 小高い丘の上でラギは呪文を唱え始めていた。ラギがマスケット銃部隊に手をかざすと炎の竜巻がマスケット部隊の中に巻き起こった。10人ほどが一瞬で黒焦げになった。それを目にした黒蛇はこの世の中に魔法が存在することを知り戦慄した。
  マスケット銃部隊の生き残りは生まれて初めて魔法の脅威にさらされ動揺したが、それでもゴブリン蜘蛛騎兵隊に銃撃をした。何人かがその銃撃で倒れたが大した数でなかった。ドワーフたちは、銃を捨て斧を構え突撃に備えた。
  ヨイチの弓兵部隊はドワーフの右翼の歩兵部隊に矢を浴びせかけるが、ドワーフの分厚い鎧に阻まれて大した戦果はない。
  中央の主力部隊同士はお互いを目指して全力で移動している。 今度は雷鳴の右翼の主力ではない遊撃の歩兵部隊に炎の竜巻が上がり、半数のドワーフたちが焼け死んだ。
  左翼ではゴブリン蜘蛛騎兵隊がマスケット銃部隊に突撃をした。この突撃で半数以上のドワーフが屍と化したが、生き残りたちは逃げ出すこともなく陣形を整え、ゴブリン蜘蛛騎兵隊との戦いを継続した。
  中央では主力の歩兵部隊の激突が始まった。ゴンザ率いるゴブリン長槍歩兵隊が先に突撃を仕掛けたのだ。しかし、ドワーフの主力歩兵部隊との練度の差は歴然だった。どうやらラギが貸し与えたゴブリンの兵たちはまだ十分な訓練を受けていない若い兵のようだった、あっという間に前列の兵が突き崩され、ゴブリンたちは恐慌状態に陥り逃げ出した。ゴンザはこれはもうだめだと確信するとヨイチの部隊に合流する為に逃げた。ドワーフの主力部隊は逃げ出したゴブリン達を追い惨殺した。
 しかし、この追撃が裏目に出てしまった。深く追撃したことでドワーフの主力歩兵部隊は右脇腹をヨイチのゴブリン弓兵部隊に晒してしまったのである。ヨイチは素早く決断を下した。ゴブリン弓兵どもに弓を捨て剣を抜けと命じた。そしてその柔らかい脇腹に突撃を開始した。
  それを牽制しようとドワーフ右翼の遊撃の歩兵部隊がヨイチのゴブリン弓兵部隊に向かったが、突如巨大な火球が歩兵部隊を焼き尽くした。またしてもラギが恐ろしい呪術をつかったのだった。
  右側面をヨイチのゴブリン弓兵部隊に突かれたドワーフ主力歩兵部隊だが、流石傭兵団・雷鳴であった。すぐに体勢を立て直し反撃を始めた。
  左翼ではマスケット銃部隊が劣勢のなか壮絶に戦っていた。彼らは今や自分たちがこの戦の勝敗を握っていることを知っていた。主力歩兵部隊は多少数は減ったとは言え、既に体勢を立て直した。ゴブリンの弓兵部隊に接近戦で破れることはない。しかし今、自分らと戦っているこのゴブリン蜘蛛騎兵隊が背後からドワーフ主力歩兵部隊を襲えば、如何に精強を誇る雷鳴とて壊滅はまぬがれまい。ドワーフ主力歩兵部隊がゴブリン弓兵部隊を打ち破るまでこのゴブリン蜘蛛騎兵隊を足止めする。そしてドワーフ主力歩兵部隊と共にゴブリン蜘蛛騎兵隊を撃滅するのだ。それ以外に勝機はない。
  陣形を整え士気を鼓舞しマスケット銃部隊のドワーフたちはよく戦った。しかし、最後の一兵がゴブリンの槍で串刺しになった時、ドワーフ主力歩兵部隊は未だに弓兵部隊を崩せずにいた。
 その最前線では、ヨイチとゴンザがドワーフたちの返り血を浴び全身を朱に染めながら戦っていた。二人は、ゴブリン達を鼓舞し罵倒し奮い立たせ、共に奮戦していた。
  ゴンザとヨイチは当初マスケット銃部隊さえ倒してしまえばこの戦に楽に勝てると思っていた。しかし傭兵団・雷鳴の強さはゴブリン達とは比較にならなかった。ドワーフたちの猛攻にもう支えきれないと二人が思った時、ドワーフ主力歩兵部隊の背後から雄叫びが上がった、黒蛇率いるゴブリン蜘蛛騎兵隊がドワーフ主力歩兵部隊に襲いかかったのだ。
 さしもの強者揃いのドワーフ達も背後から騎馬部隊に襲われては潰走するしか無かった。これで勝敗は決した。散り散りに逃げ出した大部分のドワーフはゴブリン達の槍の餌食となった。
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